記憶力を向上させる脳のメカニズムと勉強法!


記憶力を効率的に向上させる3つの勉強法
記憶のメカニズムの視点から、記憶力を向上させる3つの勉強法をここでは説明していきます。
分散学習法
分散学習とは勉強した内容の復習を少し時間をおいてから繰り返すことです。復習の効果はこちらの記事も参考になります。
[nlink url=”https://www.rehayoga.info/review/”]
比較対象として、集中学習を例にあげます。これは分散学習とは反対となり短時間で一気に詰め込む学習方法で、あまり復習をしません。試験前の一夜漬けなどがこの方法になります。知識をしっかりと記憶に残すには、分散学習が圧倒的に効率が良いといえます。ここでのキーワードは海馬への頻回刺激です。
表:「ぜんぶわかる脳の辞典」から引用/改変
前のページで説明しましたが、記憶は海馬が記憶を長期的に保存しているわけではなく、一時的に保存(短期記憶)して整理しています。上記の表の様に、同じ情報が何度も入ってきて閾値を超えると、長期の記憶へ移行しやすくなるそうです。
関連記憶とメモリーパレス
海馬で仮保存された情報は、何度も繰り返されることによって大脳皮質(主に側頭葉という研究結果も)で長期保存されます。ここでのポイントは、関連記憶(2つのことを結びつける)を利用すると記憶・想起しやすいということです。
脳は神経細胞のネットワークによって情報をやりとりしており、そのネットワークをつくる神経細胞と神経細胞の接続部をシナプスといいます。関連記憶は、このシナプスのネットワークが増加することにより脳内の信号のやりとりが増強されるのです。
この関連記憶を利用したテクニックとしてオススメなのはメモリーパレスというものです。「記憶の宮殿」、「マインドパレス」など様々な呼び方はありますが、要は場所と記憶したい内容を紐付けて覚えるという方法です。
まずは馴染みがあって覚えやすい場所を思い浮かべます。(自分の部屋や家など情景が思い出しやすい所がおすすめ)
ステップ2:アクセスポイントの設定
例えば、自分の家だったら部屋のドア、机、テレビ、ベッドやソファ、花瓶、ぬいぐるみなどに覚えたい内容を重ねていきます。思い出す時は自分の部屋を実際に歩くイメージしながら、まずドアを開ける、部屋のドアは「〇〇」とひも付き想起しやすくなるようです。
この方法でなくとも、関連するまとまりで覚えたりしても効果があります。要は何かを単体で暗記しようとすることは効率が悪いということです。
アクティブ・ラーニング
学習は主体的に行うことが重要です。言い換えると、興味を持ったり、ワクワクしていた方が記憶に残りやすいということです。ここで重要なのは扁桃体への刺激です。
記憶には興味がとても大きく関わってきます。例えば、テストで出る英単語は全く覚えていないのに、好きな映画やセレブの名前はよく覚えている人がいるのもこのためです。
興味のあるものについて調べたりしているとき、皆さんの脳波がθ波(シータ波)へ変化していることもあるそうです。シータ波とは睡眠に入る状態であったり、深い瞑想時などの脳波であり、独創的なアイデアをひらめきやすい状態です。
海馬にシータ波が伝わるとニューロン前駆細胞が刺激され、ニューロンへの分化が促進されることを発見した。この際、最終的には新生ニューロンの数が増加することも証明した。
引用:東京大学|「学ぶほど頭がよくなる仕組みがわかった」
年齢を重ねて記憶力が落ちたと感じることがあるかもしれません。これは、記憶力が低下したわけではなく、日々のできごとや対象に興味が持てなくなったことが要因の一つと言われています。
シータ波は興味を持っているときに現れるので、年齢を重ね様々な経験を積んでいくと、子供の頃に比べて色々なことに興味を持てず記憶に残りにくいのかもしれません。
そして、興味と同様に重要なのが感情で、扁桃体と大きな関わりがあります。扁桃体は海馬の近くに存在していて、感情に関わる部位です。扁桃体が活性化すると、短期記憶から長期記憶への移行に関わる海馬傍回への信号量が増加し、記憶に残りやすくなるそうです。
つまり、自ら興味をもって主体的に学ぶことがとても重要だということです。主体的な勉強法としては、言い換え(小学校高学年の子供にわかるように学んだことを要約)、小テスト(学習内容が理解できているかクイズ形式で確認)、プレゼン(学んだことを図や資料、比喩なども交えて説明)などがオススメです。
「言い換える」には、学んだことの本質的な部分まで理解していなければいけません。「小テスト」では理解していないところが明らかにわかるので、悔しい気持ちになるかもしれません。「プレゼン」では、準備で苦労したり、人に楽しく説明することで感情が動くでしょう。アウトプットの場を事前に用意してしまうと、プレッシャーがかかり吸収率が上がるのは間違いありません。
他にもノートに勉強した内容とその時の感情なども併せて記入しておくのも良いでしょう。復習の際に感情と紐付いて強く記憶に残るのではないでしょうか。
まとめ
記憶のメカニズム
記憶は感覚記憶、短期記憶と長期記憶にわかれる
記憶の保持
学習内容は海馬で仮保存・仕分け(破棄/長期保存)され、側頭葉で長期的に保存される
記憶力を効率的に向上させる3つの勉強法
①分散学習法
情報が頻繁に海馬に送られると記憶に残りやすい
②関連記憶とメモリーパレス
単体で記憶するよりも、何かと関連させると記憶に残りやすい
(場所と紐付けると覚えやすい)
③アクティブ・ラーニング
興味を持ち感情を刺激すると記憶に残りやすい
参考文献
東京大学|「学ぶほど頭がよくなる仕組みがわかった」